- 活動報告
■ 2016年度事業活動報告(平成28年4月1日~平成29年3月31日)
平成28年度は、一般社団法人 国際栄養食品協会(AIFN)従来の活動方針に加えて、昨年に引き続き、健康食品産業協議会<JAOHA>との連携による、機能性表示食品制度に関する多くの活動を実施しました。協議会では当協会の理事長、専務理事、副理事長等が積極的に専門部会(部会長および分科会長)および委員会に参加し、制度改革に加えて健康食品の普及に関する活動への比重を増やしていくことを提案していきました。また今後の栄養機能食品に関する検討会にも積極的に参加してまいります。
当協会の最大使命であります、国際的協調化および規制緩和への取り組みについては、機能性表示食品には使用できない食品添加物の使用拡大に関する申請作業に取り組み、ステアリン酸マグネシウムは、食品安全委員会での審議段階を経て、WTO通報及びパブコメののち正式に官報収載という結果を得られました。引き続き、酢酸トコフェロール、アセトンなどの溶媒の申請に向けて活動しております。
科学的な活動としては、日本ビタミン学会内のタスクフォ-ス委員会において「ビタミン・バイオファクターの機能性」に関する検討を重ね、その機能性研究と長年の功績(学会と国際機関との交流や行政対応の活動)に対して、同学会より「日本ビタミン学会企画・技術・活動賞」を受賞しました。さらに国際ファイトニュートリエント学会(Global Phytonutrient Society:GPS)の支援活動を通じて、植物由来成分の科学を推進してまいります。11月28日には、第1回のCommittee会議を行い、同時にシンポジウムを行いました。農水省農研機構や経済産業省次世代ヘルスケア産業課の講演を通じて、Phytonutrientsや植物成分などの天然物の高齢化社会への貢献を期したいと思います。
ミッション・ステートメントに基づく活動につとめる中では、消費者への教育・啓発について、設立当初より行ってきておりました、会員企業向けの教育セミナーや一般消費者向けの公開セミナーが今期は少なかったですが、上記GPSシンポジウムはその一環として挙げることができます。また、業界団体を通じてのPR活動と交流団体の活動を支援する形での貢献を行いました。
さらにAIFN自体の組織強化および会員への情報提供の一環としては、会員がメリットを共有していただくために国際、行政および科学情報の提供についてさらに充実をいたしました。AIFNインフォメーションシリーズとして、行政情報充実に向けて、時機を得た官庁ニュースの詳細化に取り組み、IASDAニュースフラッシュの英語版・日本語版の発信を引き続き実施いたしました。また、”健康食品の科学”促進のために、IADSA科学フォーラムへの資金提供(7年目)も含めた参画を継続いたしました。AIFNでは今後もIADSAと連携して参画してまいります。
今年度の主な活動結果を以下に示します。
- 理事会への提案等を積極的に提出して情報提供、規制緩和の要求などを様々な場面で展開してまいりました。理事会は、ほぼ2カ月に1回のペースで開催され、理事長・副理事長連絡会議等も開催しながら、懸案事項の討議、活動の促進などを迅速に対応できる体制で事業を行い、活動内容の最終決定を行いました。(開催回数は6回、理事長・副理事長連絡会議は2回)
- 教育・情報提供における活動として、今期は国際制度情報を中心とした総会記念公開セミナーの開催に加え、国際ファイトニュートリエント学会(GPS)第一回シンポジウムと委員によるパネル討議を後援しました。
- 制度策定における活動
健康食品産業協議会<JAOHA>との連携においては、機能性表示食品制度の検討会対応も行いつつ、健康食品の普及に関する活動への比重を増やしていくことを提案していきました。機能性関与成分に関する検討会では、結論として、糖類(オリゴ糖等のエネルギー源とならないものに限る)及びトコトリエノールが機能性関与成分として認められ、新ガイドライン改訂の際に載る予定となりました。また機能性関与成分については、ビタミン・ミネラルについて近年明らかになってきた三次機能については機能性関与成分の対象とするよう検討会の場を通じて訴えてきましたが、残念ながら最終的には機能性表示食品制度としてではなく、識者・消費者団体などの強力な意見により栄養機能食品制度の枠組みの中で検討することが合意され、受け入れざるを得ませんでした。今後の栄養機能食品に関する検討会で表示内容と含有量の変更等を含め、今後もAIFNがリーダーシップをとっていけるよう積極的に関与してまいります。また日本ヘルスケア協会<JAHI>に対して、機能性表示食品制度の改善および発展を支援するため、天ヶ瀬、阿部、森下、末木の4氏が参画することで合意され、2つの部会のうち、食と健康の研究会では、食品から広い分野にわたる製品を分類するべく数回の会合を重ねました。また、他方、次の制度見直しに対する準備に当たっては、エビデンスとしての科学的根拠の諸課題を如何にして図っていくかなどにつき、実際の活動を行う前に明確な活動方針と具現性を視野に入れて策定する必要があります。健康食品産業協議会の専門部会(部会長および分科会長)および委員会において、天ヶ瀬理事長、末木専務理事および森下副理事長が参画して積極的な意見提出および資料提供も行いました。日本ビタミン学会内のタスクフォ-ス委員会では、「ビタミン・バイオファクターの機能性」に関する検討を重ね、専務理事・理事長ほか理事数名が積極的に議論に参加しました。
また、同学会の国際交流委員会に当協会から4名が委員として推薦され、欧米関連学会との連携に協力するための活動を行いました。4月の米国栄養学会では、国際交流委員と東北大学の宮澤教授にもお願いして意見交換を行い、姉妹提携関係や今後の活動方針などについて面談を行い好意的な反応を得ました。
機能性表示食品制度については、ビタミン・ミネラル、トコトリエノールおよびオリゴ糖等の糖質を対象成分とすべきとする活動を、複数のアカデミアの協力も得て行いました。
- IADSA活動との関連では、IADSAニュースフラッシュ日本語版の発信作成・会員への発信を引き続き行いました。また並行して日本の情報をIADSA NEWS FLASH用原稿としてIADSAへ提供しました。IADSA総会およびIADSA執行委員会に参画してまいりました。また、CODEX部会のなかで、当業界に関連が強い部会である栄養特殊用途食品部会(CCNFSDU)等に参加すると共に、昨年同様消費者庁に、協力活動をいたしました。その他添加物部会(CCFA)の関連議題には、意見提出をしました。その活動下で、厚生労働省との情報交換も行いました。財政的支援の一環として、本年も引き続きIADSA科学プロジェクト費への拠出をいたしました。
- 科学的な活動として、植物由来成分の科学を進展させるべく、国際ファイトニュートリエント学会(Global Phytonutrient Society:GPS)の支援活動と第1回国際シンポジウムを後援いたしました。また日本ビタミン学会および応用薬理研究会の事業に参画をいたしました。
- 法務的な活動として、機能性表示食品には、使用できない滑沢剤であるステアリン酸マグネシウムの使用基準拡大の申請作業も終了し、WTO通報及びパブコメののち正式に官報収載となる見込みです。これらの案件につき、在日米国大使館商務部および米国商工会議所(ACCJ)と協働活動をいたしました。
- 組織強化
-
理事長、副理事長および専務理事からなる連絡会議を継続して設置し、積極的な提案を理事会へすると共に、他団体、会員などからの要望、要請に迅速に対応できるようにしました。理事会は6回、理事長・副理事長連絡会議は2回開催し、AIFNの活動案件の迅速な決定をいたしました。
-
国内企業会員数増加を目指し、ホームページの充実、AIFNインフォメーションおよびセミナー開催を通じてより多くの情報の提供に心掛けました。
-
国際的ハーモナイゼーションの促進を目指して、IADSA、CRN-US(米国栄養評議会)およびCRN-I(国際栄養評議会)との連携を深めると共に、米国の業界団体であるCRN-US との協働活動、米国大使館商務部、米国商務省およびACCJとの連携を引き続き強化してまいりました。
- 会員への情報提供および機会の提供
- 国際的なサプリメントの規制動向や機能性評価の国際的な考え方などをお伝えする公開セミナーを開催しました。
- 科学面からの活動:日本ビタミン学会の大会でサテライトシンポジウムに賛助すると共に、当協会理事長ほかの講演も行いました。
- 事務局から下記の配信物を情報として提供
AIFNインフォメーション:508件
AIFNインフォメーション<英語版>:18件
IADSA News Flash<英語版、日本語版>10件
パブリックコメント: 3件
「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」に関する意見
「組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査」免疫や安全性評価方法の国際調和
「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」見直し検討
その他IADSA情報、行政関連情報、CODEX情報、セミナー等イベント情報等
- ホームページの充実
ホームページを通じて種々セミナー等の案内等につき時機を得た、より魅力的な内容スタイルでの発信に努めました。
会員サイトでは、機能性表示食品届出完了一覧表およびIADSA2016年度総会資料の日本語版(8カ国)と科学情報3件を翻訳公開しました。また2014年以降、掲載を中止していた行政関連調査報告・動向報告を再開し、消費者庁の「特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会」などの調査報告書を掲載しました。
- 規制緩和推進
-
産業拡大および消費者の購買選択の障害となっている制度を精査し、米国大使館、ACCJ、IADSA、CRN-US(米国栄養評議会)、CRN-I(国際栄養評議会)、NPA(米国製品協会)、GOED(国際オメガ-3協会)及び時に応じて内外の他関連業界団体と連携して、消費者庁、厚生労働省、農林水産省、経済産業省をはじめ、規制改革会議への提案その他関係省庁および政策関係者に、消費者の利益および業界の発展につながる規制緩和・撤廃および国際的制度上の調和を推進しました。
また、サプリメントに使用できる栄養素・農水産物由来成分をはじめとする機能性素材および食品添加物の拡大および食品・サプリメントの機能性表示の充実について検討し、ステアリン酸マグネシウムおよび有機溶媒等の規制緩和および国際的制度上の調和をすすめていきました。上記活動については、健康食品産業協議会からの発信にも役立てました。また、食薬区分については、科学的合理性・国際的調和の観点から、食品に使用できる成分の拡大に関する意見提出等を含めた活動にも力を入れました。引き続き活動をつづけてまいります。
以下、申請活動進捗を報告します。
*酢酸トコフェロール:
使用基準拡大の申請・文献調査は完了し、相談センターとの相談へ移行し、現在も引き続き相談中です。
*ステアリン酸マグネシウム使用基準拡大申請:
食品安全委員会の親会議での説明・討議、食品安全委員会の食品添加物評価部会での審議が終了し。食品安全委員会での評価およびパブコメ。厚生労働省の薬食審添加物部会での評価は、完了しました。今後は、WTO通報及びパブコメののち正式に官報収載となる予定です。
*アセトン:状況の変化なし。引き続き検討を行います。
以上、今後もAIFNとして取り組む必要のある有機溶媒を継続検討していきます。
-
食薬区分については、かつて日米構造協議という枠組みの中で米国と厚生労働省の定期会合が持たれていた時代と異なり、その枠組みがなくなった状況ではありますが、AIFNは、引き続き米国大使館を通じたルートと国内当局へ直接働きかけるルート(規制改革推進会議のホットラインも活用)の両方を通じた制度改善の要望を行っていくことが大事と考えております。また来期に向けタスクフォースチームの再編を行い、活動を強化します。
-
サプリメントの法制度化を、さらに具体化していくために、国内外の動きに照らし合わせてその内容を精査し、新サプリメント基本法案あるいは既存法制度内での指令としての整備を進める活動は継続して行います。
-
会員企業・個人にとって利益となると共に、消費者にとっても利益となる健康食品に関する規制緩和活動を推進していきます。
-
安全性・品質確保の合理性を推進するための活動支援。
CODEX栄養・特別用途食品部会への参画
以下12月5日~9日ドイツハンブルグにて開催された第38回CODEX栄養・特別用途食品部会会議について報告です。
今回は末木専務理事が出席できませんでしたが、随時IADSAからの出席者と連絡を取りながら、AIFNからの提案・要望を行いました。ビタミンEのNRV-R 9 mg/日が採択され、Step 5/8となり、今年の総会で討議されることとなりました。DHA/EPAについては、ロシアから 250 mg/日のNRV-NCD設定の提案が出ていましたが、WHO NUGAG(Nutrition Guidance Expert Advisory Group)による結論がでていないため、次回へ先送りとなりました。
AIFNでは今後もIADSAと連携して参画してまいります。
-
機能性表示食品の届け出を支援するための活動支援。
消費者庁の機能性表示食品制度検討会に関連する広報活動
第8回消費者庁の機能性表示食品制度検討会に向けて、会員会社9社から協力金をいただき、PR支援業者を加え具体的な活動について討議しました。
-
特定保健用食品および栄養機能食品制度の改革支援。
消費者庁の機能性表示食品制度検討会
「糖質・糖類」の一部(エネルギー源となる成分を除いたもの)および、「複合成分の場合、機能性関与成分が少なくとも一部が明らかとなっている素材」については機能性関与成分として認めるという結論となり、消費者庁に提案するガイドライン修正案を作成するため、産業協議会専門部会で検討に着手しています。また、トコトリエノールについては、機能性表示食品制度開始時に消費者庁側でビタミンEの一部であるとの認識がありましたが、先の検討会で産業協議会からの確認提案と発言により、トコトリエノールは、機能性関与成分の対象であることが了解されました。
「ビタミン・ミネラル」については、来るべき栄養機能食品制度拡充の議論に向け、ビタミンDおよびEを優先して準備に着手しています。検討それ以外のビタミン・ミネラルについては今後産業協議会の会員企業から広くメンバーを集めて対応してまいります。
-
免疫能評価系に関する懇談会
免疫機能に関する機能性表示の届出が実現していくことが大きな課題であるとの認識が日本食品免疫学会の関係者と一致し、協議を重ねています。現在、学会の側で広く食品免疫に関するエビデンスの網羅的整理を行っており、如何なるエビデンスが如何なる機能性表示につながるのかを炙り出されることが期待されています。今後、社会と当局に対する何らかの発信(セミナー開催、意見文書提出等)を通じて、食品免疫機能の社会実装を目指します。
-
その他の活動
機能性表示食品や栄養機能食品の検討会等で今後更なる協力関係が必要となることを見据え、AIFNとしてビタミン学会の賛助会員の検討を行い、来年度正式に加盟します。
-
規制改革ホットラインへの意見提出
内閣府規制改革推進会議による、ホットライン集中受付(11/1~11/30)に対して、高度精製食品(遺伝子組換え食品の位置づけから除外される)の枠組み設定の要望ならびに食薬区分確認申請手続き透明化等の2件を提出しました。
高度精製食品については個別の申請案件を検討しながら枠組みを検討していくという方針が回答され、半歩前進しました。将来的には組換え体を含んでいない高度精製された食品等素材が規制の対象外となることを求めて活動してまいります。食薬区分については3月14日時点で厚労省の回答が得られておらず引き続き動向を注視してまいります
- 消費者教育・啓発活動
当協会のミッション・ステートメントの一つである、消費者への教育・啓発については、当協会自体の事業として以前から行ってきたAIFNオープンカレッジにおける、会員企業向けの教育セミナーや一般消費者向けの公開セミナーが今期は実施できませんでしたが、代わりに業界団体や学会を通じてのPR活動と交流団体の活動を支援する形での貢献を行いました。引き続き、今期も事業としてのセミナーの実施と業界団体・交流団体との協働活動としての教育・啓発活動をつづけてまいります。
-
業界団体を通じてのPR活動
健康食品産業認証協議会への活動参加の中で、GMP認証団体の基準等レベル合わせの業務の最新状況、アカデミア、マスコミ含む各方面に向けた健康食品認証制度協議会の取り組みに関する広報活動の検討等を通じて、健康食品制度への認識向上に貢献してまいりました。またGMP普及に関する健康食品産業認証協議会主催のセミナーにAIFNも協賛しました。
今年度、日本ビタミン学会とより強固な関係づくりと共同活動のため、AIFNが学会の賛助会員となりより積極的な活動を行いました。またAIFNの長年の功績(学会と国際機関との交流や行政対応の活動)に対して、同学会より「ビタミン学企画・技術・活動賞」を受賞しました。
-
交流団体との協力を通じての消費者教育
以下の団体とへの協力活動を通じて、消費者教育への貢献を行いました。
*一般社団法人全国直販流通協会のサプリメントアドバイザースタッフ資格の認定事業
*一般社団法人セルフケア推進協議会を後援・交流団体として位置づけ、協力体制を強化しました。同協会の栄養に関する資格制度の認定も引き続き行ってまいります。
-
業界団体・学会への積極的講演活動
応用薬理研究会サテライトシンポジウムに、橋本副理事長、理事会社のアピ株式会社(岩越理事)はじめ複数のAIFN関係者が参加し、啓発活動をおこなうとともに、末木専務理事が講演を行いました。
- 関連団体との連携強化
-
IADSAの執行委員団体として総会に参加。国際情報の収集・交換、CODEX部会等の国際活動への参加・協力を行い、最新情報をe-mailにて会員に配信しました。
-
消費者庁が主体となって検討された「新しい食品への機能性表示に関する取組」に関して、検討会および健康食品産業協議会へ理事長・専務理事および担当理事が積極的な参画をいたしました。
-
業界発展のために、4団体との定例月例会議出席、合同賀詞交歓会への参画等、国内業界団体との協力関係維持に努めました。
-
健康食品の安全性認証機関を認定する「健康食品認証制度協議会」において、安全性・品質の確保に関する活動に当事者的立場で関与を継続してまいりました。
-
一般財団法人 食品産業センターが取り纏める「食品産業コーデックス対策委員会」の栄養・特殊用途食品部会の委員として、年6回の会議に参加してまいりました。
-
Vita Foods Asiaへの協力合意を行い。9月の展示会への後援を行いました。
-
日本ビタミン学会第69回大会に協賛しました。AIFNが共催した市民公開フォーラムは、ほぼ満員で約120名が参加しました。
-
第1回GPS (Global Phytonutrients Society)に後援し、会員企業へアナウンスを行いました。